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はじめに
われわれは,脳卒中のリハビリテーションの新しいシステム,the Full-time Integrated Treatment(以下,FIT)program1-4)を開発し,2000年12月より当院リハビリテーションセンターにて開始した.FIT programとは最短の入院期間で最高の到達度を達成することを目的とし,空間と情報を共有することにより高頻度(毎日)かつ高密度(1日中)にリハビリテーションを行うシステムである.ハードウェアとして訓練室一体型病棟とLAN(Local area network),ソフトウェアとして療法士複数担当制,データベース構築,患者・家族教室などがある1).訓練は,複数担当制の導入により,理学療法,作業療法を原則週7日実施し,毎日の訓練により訓練頻度増加を実現させた.訓練室一体型病棟という構造により,日中病室にこもることなく活動的に生活できるよう誘導され,患者の能動性を引き出し1日中のリハビリテーションを実現させた.このようにFIT programは,訓練頻度増加と日中の活動量増加により,最短期間で最大の治療効果を目指すシステムである.
Kwakkelら5)のメタ分析によると,訓練量の増加はADL(Activities of Daily Living)および麻痺などの運動機能障害に関しわずかであるが有意な改善をもたらす.運動麻痺を重度と軽度に分けると,軽度群でのみ訓練量と麻痺の改善に有意な関係が認められるとの報告6)もある.これまで,われわれは当院のFIT program開始以前の従来のシステムとFIT programの治療効果を比較し,FIT programでは入院期間が短縮し,かつ退院時ADLが高いことを証明してきた2-4).本研究は,このFIT programのADLに対する治療効果に加えて,機能障害(運動麻痺)の改善にどのような影響を与えるのかを検証するものである.
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