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はじめに
CHART(Craig Handicap Assessment and Reporting Technique)は,国際障害分類(International Classification of Impairments,Disabilities,and Handicaps;ICIDH)における社会的不利を測定する尺度として,Craig病院(Colorado,U.S.A.)のWhiteneckらによって脊髄損傷者を対象として開発された1).
ICIDHにおける社会的不利は,その個人の属する社会において普通に果たすべき役割が妨げられ,当該社会の期待や基準に適合できないことから生ずる不利益であるとされる2).ICIDHでは社会的不利を定義するにあたり,その6つの次元として,「オリエンテーション」,「身体の自立」,「移動性」,「作業」,「社会統合」,「経済的自立」を挙げている3,4).ICIDHの改訂版であるICIDH-2において,社会的不利は「参加(Participation)」というより広義の概念に吸収され,社会的な活動に対する「参加」の制約により不利益を受ける最も重要な領域とされている5).
CHARTは,ICIDHにおける「オリエンテーションに関する社会的不利」を除く5つの分類に対応する5つの領域尺度として開発され,1995年にアメリカの脊髄損傷者に関する全国規模のデータベースNSCID(National Spinal Cord Injury Databese)に社会的不利の指標として組み込まれた6).また,脊髄損傷者だけでなく,頭部外傷7)や脳卒中8)に対しても適用されてきている.1996年に改訂され(Revised CHART),ICIDHにおける「オリエンテーションに関する社会的不利」に対応する項目「認知的自立」を加え,6つの領域尺度によって構成されることとなった.
本研究は,日本における社会的不利の測定尺度として,このRevised CHARTを日本語化し,CHART日本語版を作成することを目的とした.日本語化に際しては,1)Revised CHARTの翻訳,2)在宅脳卒中後遺症者におけるCHART日本語版の信頼性の検証,3)在宅脳卒中後遺症者と健常成人におけるCHART日本語版の施行結果の比較,という手順を踏んだ.
CHART日本語版の信頼性は再テスト法による時間的安定性のみを検討した.また,原版のCHARTはアメリカの健常成人で各領域尺度得点が100点になるよう作成されているため,日本の健常成人におけるCHART日本語版の各領域尺度得点を確認し,脳卒中後遺症者の得点と比較した.
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