Japanese
English
研究と報告
小脳出血および梗塞患者の機能的回復の評価
Evaluation for Physical Recovery of Patients with Cerebellar Stroke.
染矢 富士子
1
,
立野 勝彦
1
,
影近 謙治
2
,
八幡 徹太郎
2
Fujiko Someya
1
,
Katsuhiko Tachino
1
,
Kenji Kagechika
2
,
Tetsutarou Yahata
2
1金沢大学医学部保健学科
2金沢大学医学部理学療法部
1School of Health Science, Kanazawa University
2Division of Rehabilitation, Kanazawa University Hospital
キーワード:
小脳性失調症
,
重症度
,
機能的経過
Keyword:
小脳性失調症
,
重症度
,
機能的経過
pp.743-747
発行日 1997年8月10日
Published Date 1997/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108448
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はじめに
脳卒中片麻痺の評価ではimpairmentレベルで,Brunnstrom1)のステージ分類や上田2)のグレード分類が一般的に用いられ,機能的予後予測にも利用されている.これに対して,小脳出血および梗塞による失調症の重症度分類となると皆無に等しい.一般的に小脳性の運動失調症の評価法には,機能検査として指鼻試験,膝踵試験,回内回外試験,さらには重心動揺測定,継ぎ足歩行検査などがあり,数値で提示できるものもある.そして,これらの評価は,個々の症例の経過を示すのに主に使用される.ところが,原山ら3)は,歩行能力と重心動揺との関係を示そうとしたが,個々の症例でばらつきが大きく,測定値から平衡障害の程度を結論することはできなかったと報告している.
このように,機能的予後につながるような失調症の評価はまだ明確にされていないが,近年,脊髄小脳変性症(SCD)において,重症度分類が試みられるようになってきた.平山4)はADLを主体とする分類を,立野ら5)は移動能力を主体とする分類(表1)をそれぞれ紹介している.そこで,今回,立野分類を小脳出血および梗塞の患者にも応用できないか検討した.
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