Japanese
English
調査
胸椎腫瘍による対麻痺(脊髄症)例の除圧術後の歩行能力予後に関する検討
Prognosis of gait ability after surgical treatment of thoracic vertebral tumor.
八幡 徹太郎
1
,
立野 勝彦
2
,
染矢 富士子
2
,
池永 康規
1
,
富田 勝郎
3
,
川原 範夫
3
Tetsutaro Yahata
1
,
Katsuhiko Tachino
2
,
Fujiko Someya
2
,
Yasunori Ikenaga
1
,
Katsuro Tomita
3
,
Norio Kawahara
3
1金沢大学医学部附属病院理学療法部
2金沢大学医学部保健学科
3金沢大学医学部整形外科学教室
1Division of Physical Therapy, Kanazawa University Hospital
2Department of Health Science, Kanazawa University School of Medicine
3Department of Orthopaedics, Kanazawa University School of Medicine
キーワード:
脊椎腫瘍
,
対麻痺
,
手術
,
機能回復
Keyword:
脊椎腫瘍
,
対麻痺
,
手術
,
機能回復
pp.561-567
発行日 2001年6月10日
Published Date 2001/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109515
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
脊髄損傷(以下,脊損)の機能回復の予測に関しては多くの報告がある1-7).特に外傷例では,先人らによる多くの優れた調査研究が知られており,リハビリテーション医療現場では,これらのデータに基づき,より良い状態での家庭復帰や社会復帰をもたらすことが可能である.外傷性脊損は,リハビリテーション医療の進め方がかなり確立されている障害の一つであると言っても過言ではない.
一方,近年の脊椎外科においては,一般に悪性新生物の未期状態ととらえられる転移性脊椎腫瘍に対し,quality of life(QOL)の概念に基づいたアプローチが外科的に数多く取り組まれ,その系統的な治療概念が目覚ましく進歩しつつある.その中には,腫瘍の脊柱管内への増大により対麻痺に至る症例も多く存在する.このような症例のリハビリテーション計画を立てる際,機能回復の予測を加え,生命予後を配慮することが重要である.生命予後に関しては,腫瘍学的立場からの検討,ならびに脊椎外科的立場からの検討(局所治療成績,局所再発率)が数多くなされており,これらをもとに推察することが可能である.しかし,脊椎腫瘍を原因とした脊損の機能回復に関しては,詳細に検討された報告が少ない.
そこで筆者らは,脊椎腫瘍による脊損のため歩行困難となった症例を対象として除圧術後の歩行能力の回復経過を後方視的に調査し,その結果から,対麻痺を伴う転移性脊椎腫瘍例に対する除圧術後のリハビリテーションアプローチについて考察した.
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.