Japanese
English
特集 失調症
<研究と報告>
脊髄小脳変性症の評価と治療効果
Evaluation and Efficiency of Physiotherapy in Patient with Spinocerebellar Degenerations.
立野 勝彦
1
,
洲崎 俊男
1
,
野村 忠雄
1
,
染矢 富士子
2
,
井上 昭
2
Katsuhiko Tachino
1
,
Toshio Suzaki
1
,
Tadao Nomura
1
,
Fujiko Someya
2
,
Akira Inoue
2
1金沢大学医療技術短期大学部理学療法学科
2金沢大学医学部付属病院理学療法部
1The School of Allied Medical Professions Kanazawa University.
2Department of Physical Medicine and Rehabilitation, Kanazawa University Hospital.
pp.707-712
発行日 1986年9月10日
Published Date 1986/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105667
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はじめに
運動失調(Ataxia)は,普遍的な協調運動の障害と云う意味に用い,広く協調性の運動不全と定義する意見と,狭く脊髄癆などにみられる深部知覚障害による協調性運動障害のみとする意見がある1,2).ここでは小脳性の協調運動障害を運動失調として述べることにする.
脊髄小脳変性症(Spino-cerebellar Degeneration,以後SCDと略す)は,小脳およびそれに関連する神経系路の変性疾患の総称で,運動失調を主症とする原因不明の疾患である3,4).さて運動失調の特徴的運動障害を明確に評価する方法が未だ定かでないため,治療によってどれだけ回復がみられたかを論ずることが不明である.中村5)は,運動障害・異常な動作(課題の遂行)と運動(姿勢の連続変化としてとらえたもの)の障害から分析を試み,動作としてADLや運動年齢テスト6)(以後MATと略す)を用い,また運動障害の評価として起立動作の連続変化を分析している.
そこで我々は,脊髄小脳変性症12例に対して理学療法を行い,その経過をMAT,運動遂行能力検査(Performance test,以後PFTと略す7)),MMT,ROM,ADL8,9)によって評価し,その治療効果と評価方法を検討した.このことが今後の運動失調の障害度の評価の作成の一助となればと考えた.
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