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はじめに
日常生活活動(ADL)を測定する機能的自立度評価法FIM(Functional Independence Measure)は,1983年,アメリカリハビリテーション医学会の共同タスクフォースにより考案された1).FIMは18項目を7段階評価し,「している」ADL,すなわち介護負担度を測定することを特徴としている.FIMの妥当性は,Barthel Indexなど既存のADL評価法との比較2),検者間信頼性の検討3)により確かめられている.しかしFIMの認知項目を中心に検討した論文はほとんど見当たらない.認知項目の妥当性を確かめるためには,ADLを適応行動という観点から捉えなおすことが有用である.すなわちADLの認知項目は障害を持ちながら日常生活に適応するための能力評価と考えられる.
適応行動尺度ABS(Adaptive Behavior Scale)は,1967年米国でNihiraらにより発表され,1974年に改訂された米国精神薄弱学会(Association of American Mental Deficiency;AAMD)公認の評価法である4).日本では,AAMDの適応行動の概念「まわりの環境からの自然的,社会的要請にぴったりと合致している行動」に基づき,日本の文化的背景と習慣を考慮し,富安らにより標準化されている5).ABSは元来,精神薄弱者の行動評価尺度測定法として確立されたが,頭部外傷6),精神障害など7),成人疾患にも応用されてきている.
今回われわれはFIM認知項目(表1)の妥当性を検討する目的で,脳卒中患者においてFIM認知項目とABSの比較を行い,いくつかの知見を得たので報告する.
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