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はじめに
日本国内のみならず国際的なレベルで医学的リハビリテーションの情報交換や共同研究を行っていくためには,各施設,各国が共通に利用できるADL評価法の存在が不可欠である.機能的自立度評価法(Functional Independence Measure;以下FIMと略す)は米国のCenter for Assessment Researchにより,統一的データベースであるUniform Data System(UDS)の中核的なADL測定法として開発された1).妥当性や信頼性の検討を経て,FIMは多くの臨床家が利用でき,かつ詳細な介護度の測定が可能な評価法として,全米300以上のリハビリテーション関連施設において利用され,データの集積が行われている2,3).米国以外にも15か国以上でFIMが導入され,医学的リハビリテーションおよびケアシステムの国際比較や費用対効果分析の有力な手段として期待されている.わが国においては慶應大学リハビリテーション科による日本語版出版以来4),徐々に普及しつつあり,ここ数年FIMを用いた研究報告5-9)やFIMの講習会10)などが行われている.しかしながらFIMは元来成人を対象に開発されたものであり,こどもを評価するには項目の内容,定義などにいくつかの難点があった.
こどものADL評価については,これまでいくつかの報告が行われてきたが11-16),成人のように疾患を問わずに項目ごとに介護度や自立度を測定できる普遍的な評価法は存在しなかった.一方で小児領域においては,従来より発達検査法がスクリーニング,診断,施設間情報交換などの手段として用いられ,一部ADL関連の項目が含まれていることもあって,ADL評価の代用として用いられることもしばしば見受けられた.このような中で“こどものための機能的自立度評価法”(Functional Independence Measure for Children;以下WeeFIMと略す)が6か月から7歳までのこどものADLの測定法として開発され,妥当性の検討や17)いくつかの試行を経て1991年7月にガイドブックの第1.5版が完成した18).米国ではこれまでに417例の健常児を対象とした予備的研究が終了し19),今後FIMと同様にUDSの一貫として広く使われるようになることが予想される.WeeFIMのガイドブックについては現在慶應大学リハビリテーション科による翻訳が進行中であるが,本稿ではWeeFIMの概略およびそれを用いてわれわれが行った予備的研究の一部を紹介する.
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