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目的
脳卒中患者の入院リハビリテーションの帰結に関する判定基準のひとつに退院先(自宅か施設か)があり,それに関連する諸要因が検討されている.例えば欧米とオーストラリアからの報告では日常生活活動(ADL)の自立度が低いほど,自宅への退院率は低下する1-4).さらに配偶者の有無などの家族状況,性別などという要因も退院先に関連している5,6).退院先に関わる要因は研究の対象となった患者の特性,地域,国によって若干の相違がある.本邦では,東京都に居住する脳卒中患者を対象にして退院先に関わる要因が検討されている7,8).これらの一連の研究では,起居・移動動作の自立度が退院先をもっとも規定する要因であり,この自立度が低いほど自宅退院率は低下する.このように諸外国および本邦の研究から脳卒中患者の退院先に最も関連するのはADLに代表される機能的状態であることは一致している.他方,退院先に関わる家族状況を検討した欧米の研究によれば,家族成員数が多いあるいは配偶者がいると自宅退院となりやすい9,10).1975~1980年に入院した患者を対象とした二木の調査では7),本邦で自宅退院となりやすいのは家族成員数が多いことである.この調査と比較検討するために,1984~1985年にそれと同じ病院に入院した患者を調査した中村らによれば8),自宅退院となりやすいのは介護者がいることである.介護者には家族ばかりでなく家政婦などの第三者もおり,介護者の有無は家族状況とは別の要因である.実際に家族成員数が多くとも自宅に帰れない患者が報告されている8).一方,Kelly-Hayesらは配偶者のいる男性患者で自宅退院となりやすいと報告し,退院先に関する家族状況の要因には患者の性別も関与している6).このような視点に立つ場合,本邦では家族状況は退院先にどのように関連しているのであろうか.宮城県内(仙台市および郡部)に居住する脳卒中患者を対象にして退院先に関わる要因について検討した.
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