Japanese
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特集 脳性麻痺者の生活と労働
脳性麻痺者の雇用と就労―共同作業所の現状と活動の実際
Employment and Work of Cerebral Palsy Persons: The present condition and practice at Community Workshop.
藤井 克徳
1
Katsunori Fujii
1
1共同作業所全国連絡会
1Association of Community Workshops for Disabled Persons
キーワード:
脳性麻痺
,
雇用
,
就労
,
共同作業所
Keyword:
脳性麻痺
,
雇用
,
就労
,
共同作業所
pp.973-977
発行日 1991年10月10日
Published Date 1991/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106921
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「全員就学」実施と顕在化した進路問題
1970年代前半,都内の肢体不自由養護学校を中心とした障害児学校では,毎年2月下旬から3月上旬にかけて激しい議論がくりひろげられた.養護学校義務制が施行されていなかった当時は,次年度入学を希望する児童・生徒の入学の可否をそれぞれの学校の職員会議で決定していた.知能面や運動機能面,スクールバスのコースなど,予め行われた調査結果をもとに「入学選考」と銘打った職員会議は延々と続いた.多い年度は行政的に定められた定員の倍に及び,半数近くが振り落とされていた.入学を拒まれた親子は,不本意ながら自らの手で就学猶予の手続きをとらなければならなかった.
新卒で養護学校に勤務したばかりの筆者は,この「入学選考」という響きに言いようのない不条理さを覚えた.同じ障害児でありながら,一方は教育の機会を得ることができ,もう一方はそうではない.このことが理解できなかったのである.定員枠を越えて少しでも重度の障害児を受け入れようとする意見と,教育効果が期待できる者に絞るべきである,とする意見が真っ向からぶつかりあった.筆者も障害が重いからこそ手厚い教育が必要であり,教育権は誰もが保障されるものという立場で必死に食い下がった.時計の針は夜の10時近くをさし,前年もその前の年もそうであったように,結局多数決で決着をつけることになった.議長が一人ひとりの子どもについて「否」か「適」で挙手を促し,入学の可否が確定されるのであった.
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