Japanese
English
紹介
中途障害者の障害受容における価値の転換―「自己」への気づきに視点を当てた共同作業所の取り組みから
Value Changes in Acceptance of Disability in Persons with Physical Disability.
岡 茂
1
,
島崎 けい子
2
,
望月 米代
2
Shigeru Oka
1
,
Keiko Shimazaki
2
,
Yoneyo Mochizuki
2
1京都教育大学発達障害学科
2すこやか作業所
1Education for the Handicapped, Kyoto University of Education
2Sukoyaka Workshop
キーワード:
中途障害者
,
共同作業所
,
障害受容
,
価値の転換
,
自己への気づき
Keyword:
中途障害者
,
共同作業所
,
障害受容
,
価値の転換
,
自己への気づき
pp.1191-1194
発行日 1996年12月10日
Published Date 1996/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108264
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はじめに
身体障害者の障害受容にはさまざまな理論があるが,その本質は「価値の転換」であることを最初に唱えたのはDembo TとWright BAである1).Wrightの価値転換理論の要点は,1)価値の範囲の拡大,2)障害の与える影響の制限,3)身体の外観を従属的なものとすること,4)比較価値から資産価値への転換,という個人のもつ価値体系(value system)における4つの側面の変化が障害受容をもたらすとするものである2-5).
Wrightの理論は諸家が認めるように卓見であり,障害受容理論に大きく貢献したと考えられる6-11).しかしながら,価値の転換を現実化する方法についてはもう一つ明確でないところがある12,13).価値の転換といい,感情・行動や態度の変容といい,表現は異なっていても共通して認められるのは自己認知・自己概念の変容であろう.身体障害者のリハビリテーションや障害受容の取り組みに際して,自己認知・自己概念の変容や「自己」への気づきに視点を当てた研究は比較的少ないのではないかと思われる14-17).
本稿の目的は,中途障害者の共同作業所における障害受容を促進する学習活動のデータに基づいて,障害受容における価値の転換を「自己」への気づきとの関わりで考察することである.
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