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はじめに
昭和54年に養護学校教育の義務制が施行されてから今年で10年を迎えた(東京都は全員就学15年になる).昭和56年の国際障害者年には国および各都道府県を中心に「国際障害者年行動計画」が策定され,障害をもつ人ともたない人がともに生きる豊かな社会の創出をめざして諸施策・諸活動が進められている.この10年間における障害児者をめぐる問題や社会の情勢は大きく変化しつつある.
養護学校教育の義務制により障害児教育は新たな展開を続けてきた.それまで就学を猶予,免除されていた障害の重い子供の就学保障,養護学校の増設,通学保障,学校施設の改造,教職員増など,その対応は量的拡充を迫られ続けた.とともに,新たに障害の重度化に伴う教育内容,方法の改善,創造,その人たちの卒業後の進路保障等が課題として提起されてきた.
10年を経た今日,生徒の障害はますます重度・重複化,多様化の度を増すとともに,軽度の人たらへの指導も含めて,教育の質的充実が最も重要な課題となっている.また,当初の入学生はすでに卒業または卒業期を迎えており,養護学校で深刻化していた重度・重複化,多様化現象の諸問題は,今後社会における重要な課題になるといえる.
養護学校卒業後の進路指導という場合,①卒業後を見通し,学校ではどのような進路指導を行っているか,②卒業生のアフターケアにどのように関わっているか,③就職が困難を極める中で,国際障害者年を契機にして障害児・者もともに地域社会の中で生きてゆくことが重要課題となっている.障害者が生きる場,地域づくりなどにどのように関わって進路指導が行われているか,というような視点が考えられよう.
生徒は卒業により学校教育は終了し,学校の教育計画からは対象外となる.しかし,その後の職業生活等を維持していく上で,特に担任教師や進路担当者の継続的な援助を必要とする場合が多い.また,学校側にしても卒業生のことが気にかかるとともに,その進路や生活から学び取ることも多い上に,教育の評価と併せて新たな進路を切り開く上で必要な情報源となる.個々のケースの的確な把握と事業所や他機関との連携など柔軟な対応が必要とされる.
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