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特集 重複障害
重複障害児教育の実態―特に肢体不自由養護学校の場合
Education of the Multiply Handicapped in School for the Crippled Children.
村田 茂
1
Shigeru Murata
1
1国立特殊教育総合研究所肢体不自由教育研究部
1Department of the Physically Handicapped, National Institute of Special Education.
キーワード:
重度・重複障害
,
学校教育
Keyword:
重度・重複障害
,
学校教育
pp.177-182
発行日 1981年3月10日
Published Date 1981/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104498
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Ⅰ.重度・重複障害児と学校教育
昭和40年前後から,学校教育の分野において「重複障害児」ということばが目立って使われるようになった.それは,制度的には特殊教育の対象とされてはいても,障害が重く教育の困難性が高いとされて,それまで実際上は特殊教育の対象とは考えられていなかった重複障害児が,そのころから養護学校へ就学するようになってきたことの結果である.その背景には,医学の分野における進歩が,例えば脳性麻痺以外の肢体不自由の発生をある程度予防することを可能にし,それに加えて,そのような軽度の障害児に対するリハビリテーションが進んだこと(一般の小・中学校への就学が可能となったこと),さらに,養護学校等の特殊教育の機関がかなり整備されたことなどがあり,こうしたことの結果,重複障害児の養護学校への就学がより容易になったからにほかならない.
そして,昭和40年代の後半以降,養護学校教育の義務制実施が具体的な日程にのぼり始めるとともに,重複障害児に「重度」が冠せられて「重度・重複障害児」ということばがしきりに用いられるようになった.重複障害児についても,統一的な定義が不明確なところに,重度・重複障害児という用語になってくると,ますますそれを定義づけることは困難である.それはともかく,養護学校教育の義務制実施とともに,今まで特殊教育の学校でさえも対象としなかったような,重い障害児や二つ以上の障害を併せもっているような障害児が養護学校に就学するだろうという現実的な問題から,重度・重複障害児の教育がにわかにクローズアップされてきたのである.
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