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はじめに
末梢循環障害は,動脈系の閉塞,静脈系の閉塞,リンパ管の疾患に大別できる.本邦においては閉塞性血栓性血管炎,Thrombo angitis obliterance,TAO,いわゆるBuerger病が多いとされていたが,近年食生活の欧米化などにともない,閉塞性動脈硬化症Arterio sclerosis obliterans,ASOの頻度も欧米1~3)なみに報告され,下肢切断原因も末梢循環障害を原因とするものが漸増している.
末梢循環障害の治療は,食餌療法,禁煙などのrisk factorの除去の基本の上に,薬物療法4,5),血管外科的療法が主である.各種物理療法6,7)も,薬物,血管外科とならんで末梢循環障害に適応されるが,文献的にみると1940年代までは,多くの直接加熱法,関節加熱法をはじめ各種物理療法の報告8~13)がみられるが,その後本邦,欧米とも末梢循環障害に対する物理療法の発表14~17)は少ない.これは血管外科の進歩,各種薬剤の開発にくらべて,各種物理療法は,効果が明らかでない.効果発現までに時間を要す,報告者により用いるmodalityに差がありすぎるなど不確定な面があり,物理療法が末梢循環障害の主要な治療法として認められていないことによる.
しかし,血管外科,薬剤と物理療法を併用すれば,治療効果をあげやすく,物理療法をかえりみないでよいということではない.
物理療法は,温熱療法,光線療法,電気療法,水治療法,その他に分類できるが,本稿では各末梢循環障害の分類と直接的温熱,間接的温熱その他の物理療法とともに,末梢循環障害に著しい効果をもつ高圧酸素療法Oxygenation under High Pressureについて述べる.
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