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特集 末梢循環障害
末梢循環障害による切断―特に末梢循環障害の切断術について
Amputation for Vascular Disease.
吉村 理
1
,
林 克二
1
,
長尾 竜郎
2
Osamu Yoshimura
1
,
Katsuji Hayashi
1
,
Tatsuro Nagao
2
1九州労災病院リハビリテーション診療科
2富山県高志リハビリテーション病院
1Department of Rehabilitation Medicine, Kyushu Rosai Hospital.
2Toyama Takashi Rehabilitation Hospital.
キーワード:
末梢循環障害
,
切断
Keyword:
末梢循環障害
,
切断
pp.767-773
発行日 1985年10月10日
Published Date 1985/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105463
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はじめに
四肢の切断原因は,高度な外傷,悪性腫瘍,感染,末梢循環障害などである.
昭和55年身体障害者実態調査報告1)によれば,18歳以上の切断者12万1000人で対人口比1:1000であり,上肢切断では外傷によるものが83%,疾病によるものが15.4%,下肢切断でも外傷によるものが69%,疾病によるものが30.1%で,疾病のうち末梢循環障害によるものが男8.5%,女2.5%を占めている.欧米諸国と本邦とでは切断原因にかなりの差異があり,欧米2)では下肢切断原因の60~70%を閉塞性動脈硬化症,糖尿病性壊疽が占めるのに対して,本邦3)では外傷,悪性腫瘍,慢性骨髄炎などが切断原因の大部分で,末梢循環障害による切断は10%以下である.
また末梢循環障害も欧米では,糖尿病,閉塞性動脈硬化症が大部分であるのに対し,本邦ではBuerger病の比率が高い.近年食生活の欧米化などの要因にともない,わが国の疾病統計も変化しており,切断原因も末梢循環障害とくに閉塞性動脈硬化症による切断が漸増しており,現在では閉塞性動脈硬化症とBuerger病との比率は同じとされる.
糖尿病は重症糖尿病自体も少なく,閉塞性動脈硬化症に糖尿病をともなうものも欧米にくらべて著しく少なく,したがって糖尿病壊疽4)による切断は少ない.本稿では末梢循環障害による切断術とともに,当科で取り扱った末梢循環障害による切断例を明らかにし,再切断例,切断と片麻痺の重複障害例の検討を行う.
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