Japanese
English
特集 リハビリテーションにおけるリスクへの対応
末梢循環障害による切断者
Amputee with peripheral vascular diseases.
河津 隆三
1
,
豊永 敏宏
1
Takamitsu Kawazu
1
,
Toshihiro Toyonaga
1
1九州労災病院リハビリテーション科
1Department of Rehabilitation Medicine, Kyushu Rosai Hospital
キーワード:
肢切断
,
高齢者
,
末梢循環障害
Keyword:
肢切断
,
高齢者
,
末梢循環障害
pp.603-608
発行日 2001年7月10日
Published Date 2001/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109528
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はじめに
近年,疾患構造は,生活習慣の欧米化に伴い以前に比べ大きく変化している.疾病頻度を見ると,各種の血管疾患,特に動脈硬化性疾患が著しく増加していることが明らかである.末梢循環障害については,1970年代半ばまではBuerger病が慢性動脈閉塞症の半数以上を占めていたが,これ以降,閉塞性動脈硬化症(ASO)の占める割合が急増し,現在ではASOが90%以上に及んでいる.また,医学の進歩に伴い,罹患期間も以前に比べ長くなり,多くの合併症が見られるようになった.
末梢循環障害による切断の原因としては,高齢者では糖尿病性壊疽によるもの,閉塞性動脈硬化症によるもの,これらを合併したものなどの増加が顕著となっている.外傷による切断例は減少している反面,循環障害のために切断に至る症例は徐々に増加し,リハビリテーション上問題となるケースは増えている.
特に高齢化により,多くの合併症を持つ切断例も増えており,外傷による切断例とはリハビリテーションプログラムは大きく異なってくるものと思われる.仮に切断を行っても,義足歩行に至らないケースも見られている.それは切断端を含めた残肢の問題,心肺機能の問題,廃用などの筋力の問題,疾患による内部障害,中枢神経,末梢神経の合併症など,さまざまなものが背景因子として考えられる.その意味でも切断の原疾患およびその合併症に対するリスク管理が重要である.また,救肢を念願とした包括的な医療を行うことも必要であろう.
以下に,高齢に伴う合併症を持った切断例について,合併症を含めたケアを簡単に述べる.
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