学会報告
第25回九州リハビリテーション医学懇話会―昭和60年7月14日,於:鹿児島市立病院学術ホール
田中 信行
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1鹿児島大学医学部附属病院霧島分院
pp.303-307
発行日 1986年4月10日
Published Date 1986/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105580
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1.脳卒中症例の職業復帰―第一線病院の経験から
千鳥橋病院リハビリテーション科
馬場 亮三 高畠 由紀 平島 裕子
1979年7月より1984年6月までの5年間に当院を退院した,脳出血ならびに脳梗塞の患者298名を対象に,職業復帰の実態に関する検討を行った.発症前の就労者は男性90名,女性29名(家事労働は除く)の計119名で,55歳以下に限ると,就労率は男性83.3%,女性76.9%であった.職種としては,自営業,工員・作業員,日雇労働者が多かった.
リハビリテーション後,結果として職業復帰しえた症例は,男性25名,女性4名の計29名で,これは発病前就労例の24.4%にすぎなかった.職種としては,自営業,工員・作業員の復職率が比較的高く,日雇労働者,運転手,飲食店従業員等は低かった.機能障害は軽度の人がほとんどで,歩行不可例からは職業復帰出来た例はなかった.身障授産施設に入所した症例は3名であったが,今後,転職を必要とする人の職業訓練の場,就労の機会の拡大,保護職場の充実等,社会の側の受け入れ体制の充実が望まれる.
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