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はじめに
理学療法と物理療法はいずれも,英語ではphysical medicineでありながら,その守備範囲はわが国では,必ずしも同じではない.これは,わが国における特殊事情ともいえるもので,戦前のドイツ医学を中心に東洋医学的色彩を加えた物理療法と,戦後にわかに進歩をみせたリハビリテーション医学の中における理学療法との食い違いによるものと思われる.
これを模型的に示せば図1のようであり,従来の物理療法はほとんど理学療法の中に包含されるが,理学療法のかなりの部分はいわゆる物理療法の枠外にあるものであり,理学療法の主役である運動療法(含呼吸運動),体位排痰炎,補装具,牽引療法などは従来の物理療法の概念の中には含まれていない.
一方,近時急速の進歩をみせた医用電子工学,光学の領域は,純粋な物理療法であり,従来の物理療法の延長線上か,あるいは全くの新分野にあるものであるが,これは理学療法の領域を拡げるものであり,主なものとしては,bio-feedback,電気刺激による鎮痛法(Stimulation Produced Analgesia,SPA),電動義手,Puff & Suckあるいは音声制御車椅子,電導杖,環境制御システムなどが挙げられる.
他方,理学療法の枠からとび出して,はなばなしい活躍をみせているものの代表例としてはレーザー光線があり,その主役は皮膚科,眼科,外科,脳外科などで,「理学療法の枠に含まれない物理療法」ともいえる分野である.
また,従来の物理療法の中でも,医学の進歩あるいは変貌とともに,利用度の低下(赤外線,紫外線など),利用内容の変化(遠赤外線,近紫外線など),利用目的の変化(電気刺激,寒冷療法,Hyperthermiaなど)などの変化がみられる.
また,新しいものではないが,一部でその利用が続いているものに磁気療法,高圧電界療法があり,とくに前者は民間療法化している.
なお,X線,RIに関連する領域は検査,治療分野ともに瞠目すべき進歩をもたらしているが,これは従来通り,物理療法には含めないのでここでは述べない.
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