Japanese
English
講座 運動療法とその背景(4)
運動療法と筋肉
Therapeutic Exercise and Muscle.
大井 淑雄
1
Yoshio Ooi
1
1自治医科大学整形外科・リハビリテーションセンター
1Department of Orthopaedic Surgery and Rehabilitation Center, Jichi Medical School.
キーワード:
筋肉
,
運動療法
,
EC coupling
,
絶対筋力
,
等運動性筋収縮
Keyword:
筋肉
,
運動療法
,
EC coupling
,
絶対筋力
,
等運動性筋収縮
pp.305-314
発行日 1984年4月10日
Published Date 1984/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105151
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はじめに
リハビリテーション医学においていわゆる理学療法のみならず運動療法が非常に重視されるようになったのはそれほど古いことではない.しかしながら運動療法の実践については西洋でも東洋においても古来いろいろな方法で継承されて来た.
近代の西洋医学において一時重視された薬物療法や手術療法が深く検討されるにつれて,運動療法も再び最近の運動学,生理学,生体力学など基礎科学的知識に支えられ,好んで採り上げられるようになった.たとえばインシュリンの発見以前の糖尿病の治療は,食事療法と共に運動療法が主であったのである.薬剤や手術の持つリスクや副作用,合併症はこの一見治療法としては生ぬるい感もある運動療法を近代医学の治療法の一つとして再検討することを余儀なくしたとさえ思われる.
リハビリテーション医学における運動療法はいわば学問としての柱のように発達して来ているし,その他の関連臨床領域でも重要視されるに到っている.温泉療法やデイアテルミーももちろん適応と効用が十分認められるのであるが,リハビリテーション医学における治療および研究の中心は運動療法であるという点に関しては異論はなかろうと思われる.
元来四肢の関節および筋肉など,運動系を扱う整形外科ではもちろん運動療法の研究も行われて来ているが,波紋はさらに拡がってスポーツ医学,神経内科学,リウマチ学などにおいてその意義を十分認め仕事がなされている.運動の源となる筋肉の基礎的知識と最近の本療法の考え方をまとめて以下に記述する.
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