Japanese
English
研究と報告
視空間失認の定量的評価法
Quantitative Evaluation of Visuospatial Agnosia.
横山 富美子
1
,
田中 信行
1
,
川平 和美
1
,
片岡 明美
1
,
内田 愛
1
,
竹迫 賢一
1
,
井形 昭弘
1
Fumiko Yokoyama
1
,
Nobuyuki Tanaka
1
,
Kazumi Kawahira
1
,
Akemi Kataoka
1
,
Megumu Uchida
1
,
Kenichi Takesako
1
,
Akihiro Igata
1
1鹿児島大学医学部霧島分院
1Kagoshima University Hospital Kirishima Branch.
キーワード:
視空間失認
,
失行失認症
Keyword:
視空間失認
,
失行失認症
pp.731-736
発行日 1983年9月10日
Published Date 1983/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105026
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はじめに
人間の身体活動には,単に筋力のみならず,視覚による周囲,あるいは周囲と自己との空間的配置の把握と,運動につれて刻々と変るそれらの中枢へのfeedbackが重要である.したがって,この視空間に関する認識の障害,すなわち視空間失認visuospatial agnosiaは脳血管障害患者のリハビリテーションをすすめる上での重要な阻害因子となっており,われわれはすでに,視空間失認を有する片麻痺患者は,他の患者にくらべ日常生活動作の改善が著しく劣ることを報告した1).
視空間失認を定量的に評価出来れば,機能回復の程度や社会復帰の可能性を予想するうえで重要な指標となると考えられるが,従来の検査法は絵画や積木により視空間認識機能の一部を評価しているにすぎない.絵画や積木によるテストは片麻痺患者,特に利き手の運動障害がある人ではテストに非常に長時間を要する.また運動失行によっても失認と同様の異常を呈するため,これらは純粋な失認の検査とは言い難く,視空間失認による失行症状(失行・失認症aparactognosia)と,純粋の運動失行との混同をきたす一因ともなっている.
そこでわれわれは,視空間失認を多面的に把え,Yes-No式の簡単な解答様式により上肢機能障害や失行などの因子をできるだけ除いた定量的評価法を考案した.また当院に入院した脳卒中患者を中心に本検査を行い,その病巣との比較から本法の妥当性についても検討した.
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