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Ⅰ.はじめに
学校教育では指導計画はすべて学習指導要領を基準として作成されなければならない.心身障害児のために特別に設置された教育機関,すなわち盲学校や聾学校,養護学校などの特殊教育諸学校の場合,「盲学校,聾学校及び養護学校学習指導要領」にしたがう(ただし,中学部は昭和56年4月1日からということになっている).それによると,それらの学校に在籍する心身障害児を指導するさい,教育課程の編成領域として,養護・訓練を必ずとりあげなければならないことになっている.しかし,いわゆる一般小中学校では,養護・訓練を特に指導する必要はない.したがって養護・訓練は特殊教育諸学校独自の指導であり,その重要性を考慮すると,特殊教育諸学校における中心的指導であると言うことができる.このことは運動障害児を対象とする肢体不自由教育においてもまったく同様である.
このような理由から,養護・訓練の指導をいかに効果的に行うかは肢体不自由教育において非常に重要な問題であるが,これまでその内容,方法等についてまだ充分でないところが多く残されていた.昭和54年10月,筆者の指導のもとに,筑波大学人間学類の学生は,全国125の肢体不自由養護学校を対象に,最近の肢体不自由養護学校における養護・訓練の実態はどのようであり,どんな問題がみられるかを明らかにするため調査を行った(昭和54年度筑波大学人間学類人間学実習Ⅱレポート).この調査は,125校のうち回答してきたのは72校であったが,全国の実態であるという点と,この種の調査では最新のものであるという点で,貴重な情報をもたらしている.ここでは,この調査結果を中心に,テーマとなっている「養護・訓練で使われている技法(最近の傾向を中心に)―肢体不自由教育の場合」を述べたい.
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