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はじめに
正常児が歩行可能になるまでには,頭のコントロールからはじまり,寝返り,坐位,四這い位,つかまり立ちなどの機能的な発達がみられる.これらのことは,その背景に,抗重力位における頭・体幹のコントロール,体軸内回旋,上肢の支持性,各関節の分離運動を可能とする立ち直り反応,平衡反応などの姿勢反射活動の発達を必要とする.
Bobath法による脳性麻痺児の治療においては,立位・歩行訓練をはじめる前に,まずその基礎になる正常な姿勢反射活動の発達を重要視する.しかし,このことは,立位・歩行訓練段階になって初めて立位で治療するという意味ではない.脳牲麻痺児が示す問題によっては立位獲得が直接の目的でなくても積極的に早期から立位で治療する場台もある.また,股関節,足部を構造的に正しく発達させることを考慮して立位をとらせ,下肢に体重負荷させる場合もある.すなわち,単に機能的な発達の順序を追いかけるだけではなく,それぞれの機能が可能となるためには,どのような神経学的な発達が必要かという分析,そして発達指標のような縦断的な見地だけでなく,同年齢時における多様な運動機能間の相互関係の分析などによる治療手技の選択,工夫が行なわれる.そのうえ脳性麻痺児には,必ず異常な筋トーンを伴う異常姿勢反射活動が出現するので,その抑制をも始めから考慮に入れていかなければならない.
とにかく子供一人一人の問題点,発達段階,神経学的発達,年齢などに合わせて手技と治療肢位を決めて行くものであり,厳密には,どこからが立位・歩行訓練であると区別することは困難である.しかし,ここでは一応狭い意味での立位・歩行を目標としたBobath法による治療について述べる.
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