巻頭言
地域リハビリテーションとリハ医学
藤 勉
1
1長野県厚生連リハビリテーションセンター鹿教湯病院
pp.395
発行日 1978年6月10日
Published Date 1978/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103992
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リハビリテーション医学が日本に導入されて十数年経ていますが,果して真のリハビリテーションが日本の各地に定着しているでしょうか.残念ながら“ノー”と答える人が多いでありましょう.脳卒中後遺症の歩行面からリハビリテーション効果をとりあげるならば,「リハ」以前の統計では片麻痺患者が実用性歩行に回復する率は約6割とされていましたが,「リハ医学」による訓練および杖と装具の開発により片麻痺の90%は実用性歩行を獲得し得るといわれるに到りました.しかし,このリハ医学の恩恵に浴している患者は日本の全脳卒中罹病患例のどれ位でありましょうか.われわれの調査によりますと,いわゆる寝たきり患者の原因疾患の約8割が脳血管障害性のものであり,その中でリハ訓練の経験者は3割で,発作初期から十分なリハ管理を受けた者は皆無でありました.
特養ホームにおける実態も大体同じような状態であります.現在,寝たきり老人の数は人口10万対約300名というのが日本の全国的統計でありますが,このほとんどは日本のリハ医学矛盾の犠牲者といわなければなりません.次にその問題点を提起してみましょう.
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