Japanese
English
紹介
失語症簡易検査―その構成と臨床的意義
Construction of a Short Test of Aphasia.
福迫 陽子
1
,
笹沼 澄子
2
Yoko Fukusako
1
,
Sumiko Sasanuma
2
1東京都養育院付属病院言語聴覚科
2東京都老人総合研究所言語聴覚研究室
1Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital.
2Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology.
キーワード:
失語症
,
失語症検査
Keyword:
失語症
,
失語症検査
pp.433-441
発行日 1978年6月10日
Published Date 1978/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103998
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はじめに
従来,失語症検査法の作成にあたっては,いくつかの例外を除き,必要と考えられる言語様式(慣例的には聴覚的理解,読解,口頭表現,書字,計算)について,困難度の低い検査項目から高い検査項目まで網羅してあり,かつ信頼性が高いことが目標にされてきた.そのため,検査項目数は多く,所要時間も長くなっている.
多数の項目よりなるテストパッテリーで症状を包括的に捉えることは,失語症研究や言語治療計画の立案には不可欠である.一方,臨床的な立場からいえば,より少ない検査項目で短時間に症状を把握し,失語症診断や分類を行ない得ることも望ましく,このような観点から失語症検査法を検討することも必要であろう.
今回われわれは,このような目的に沿うための少数の検査頂目よりなる失語症簡易検査を作成したので,その概要と意義について報告する.
失語症簡易検査の特徴は,第1に,検査法の開発にあたって因子分析法をよりどころとしたこと,第2に,短時間に失語症患者のスクリーニングが可能であることを目的としたこと,の2点である.すなわち,包括的な失語症検査をうけた失語症患者の検査成績から得られた数個の失語症因子(しかも過去に行なわれた何回かの失語症因子分析の結果くり返し抽出されることが確かめられている因子)を指標として,簡略な検査法を作成したことである.
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