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はじめに
動作障害の測定(measurment)と評価(evaluation)はリハビリテーション上,治療プログラムの作成,効果判定にとって重要である.これには,具体的な課題遂行をテストすることによって患者の機能欠損(deficit)を測定する方法と,患者自身またはその身近かな人間が患者の能力障害(disability)を評価する方法とがある.測定法としては,多くは課題遂行の可否およびそれが自立していたか否かによってスコア化するものが使われている.最近,患者は課題遂行に正常者より多くの時間を使う場合が多く,上記の方法では課題遂行が容易であっても難かしくても,一人でできれば自立とされてしまうという批判,また絶対尺度単位による表示という観点から,課題遂行の所要時間を測定する方法が開発されている.これは課題遂行がいかに正常に近いかを問う1つの方法であるが,課題遂行時の外観もまた問題にされている.
能力障害は任意のスコア化の方法によって評価されるが,これにも個々の課題に対して遂行時の障害の有無を「はい,いいえ」で回答させる方法,障害の程度を3段階,5段階あるいは百分率を用いた評定尺度で回答させる方法などがある.
客観的測定法は異なる人間が行なっても再現性が高く,主観的な偏りが少ないという利点がある.しかし時間がかかり,また障害全体の指漂にはならず,融通性に欠け,しばしば特殊な道具を必要とする.一方,主観的評価法はこれと逆の特徴をもつ.両者にはそれぞれ利点と限界があり,これらが理想的なものになるまでは相補的に両者を併用することが望ましいとされている.
患者の動作障害をとらえようとする場合,測定法と評価法の間には互換性はないのであろうか.この問題を解く端緒として,評価法による結果と測定法による結果がどのような関連をもつかについて「歩行」をとりあげて分析を行なった.
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