Japanese
English
特集 評価Ⅱ
成人片麻痺の評価
The Evaluation of Adult Hemiplegia.
上田 敏
1
Satoshi Ueda
1
1東大病院リハビリテーション部
1Central Rehabilitation Service. University of Tokyo Hospital.
キーワード:
片麻痺
,
評価共同運動
,
平衡反応
,
標準化
Keyword:
片麻痺
,
評価共同運動
,
平衡反応
,
標準化
pp.717-725
発行日 1975年9月10日
Published Date 1975/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103396
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Ⅰ.はじめに
片麻痺(hemiplegia)ということばは,成人における後天的な同側上・下肢の中枢性の麻痺を指すだけでなく,脳性麻痺の痙直性片麻痺をも指し,時にはポリオなどの末梢性の麻痺がたまたま一側の上・下肢を侵した場合にも用いられることがある.しかし,ここでは,脳卒中,脳外傷,脳腫瘍(術後)などによる成人の中枢性の片麻痺に限定して論ずることにする.脳性麻痺の痙直性片麻痺と成人の片麻痺との間には障害学的に共通するところが多いが,他方では脳性麻痺が発達途上にある脳の損傷による発達障害であるのに対し,成人片麻痺が一旦完全に発達した運動制御機構の部分的破壊による機能脱落であるという点での相違があり,異なった取扱いが必要である.ただ後にみるように,最近では,これまで脳性麻痺において広く用いられてきた立ち直り反応,平衡反応などの全身的反応を成人片麻痺の評価においても重視すべきであるとの考えが強まりつつあることも事実である.これらのことを踏まえながら,成人片麻痺の評価について現段階における問題点を考察してみたい(以下単に「片麻痺」という場合,特に断らない限り成人のそれを指す).
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