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はじめに
現在わが国で用いられている行政各法間の障害認定の場合における障害評価の比較は,それが明治,大正,昭和の3代約80年以上にわたる恩給法の歴史の中で立法されたものであり,その立法の時期と世相の異なる中で評価され,認定されて現在に至ったが,法令用語の中に障害,機能評価という言葉は見当らず,しいて探せば,評定という用語が公務の勤務の成績判定に使用された位で,評価という言葉は各法立法段階では余り親しみのないものであったに違いない.現在われわれリハビリテーション(以下リハビリという)を施行しているものにとって評価はどの分野でも欠かせないものである.
厚生省社会局身体障害者福祉審議会では昭和48年第46回日本整形外科学会,河邨文一郎会長より行政各法の障害等級がばらばらで,障害評価や機能評価に不統一の点があり,脳性麻痺等の重複障害も実態に則した評価が行なわれず認定にあたる医師として極めて煩瑣であり矛盾を感ずる点が多々あるとの主旨で速かに障害程度の認定の統一をなし,身障者の公正な処遇および効率的な運営を要望する主旨の要望書が提出された.そのため,同審議会(会長葛西嘉資)は直にその要望書に沿った線で現在6段階の等級に分れている身障者福祉法による等級表を速かに3等級にまとめ,特に国年,厚年等の診断評価と統一できるような線にまとめるよう等級改正のための特別部会に調整を委任され,現在その業務を続行中である.
行政各法が戦後30年間に立法施行されたとはいえその創設の時期が異なり政治的背景と行政各省各局の性格や運営の差異はその主旨が補償や保障等の目的の違いによるものが多く,簡単に比較することはむずかしく,学問的にいっても医学的,社会的,心理的,教育的,経済的な諸要素の影響を無視して考えることはできないので規行政各法をまとめて,そのおもだった部分を比較検討して大方の批評を仰ぎたいと思う.
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