連載 臨床研究入門
臨床研究の研究デザイン―量的と質的研究方法
目谷 浩通
1
,
関 聰介
1
,
平岡 祟
1
,
椿原 彰夫
1
1川崎医科大学リハビリテーション科
キーワード:
日常臨床
,
質的研究
,
量的研究
Keyword:
日常臨床
,
質的研究
,
量的研究
pp.1253-1255
発行日 2012年9月10日
Published Date 2012/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102673
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臨床研究を始める前に
日々の診療ではさまざまな疑問にぶつかる.それらを解決するため,過去に出された論文を検索・熟読する.しかし,過去に報告されていない事象や,知られていない事実も数多く残されている.それらを明らかにするために医学・臨床研究がなされる.出てくる疑問を解決しようとする努力が研究につながる.このことから,ある意味,日常臨床の疑問は臨床研究のアイデアの宝庫とも言える.そのため筆者はいつもメモを用意している.日々の臨床で生じた疑問は,臨床研究を進めるためのアイデアとして雑多に書き留めている.ある程度詳細に煮詰める時もあれば,本当に走り書き程度で忘れないようにするためのメモ程度の場合もある.つまり臨床研究とは,日々の症例を積み重ね,疑問をもち,傾向を見出すことであろう.
近年,チーム医療の重要性が指摘されている.チーム医療とは,患者を中心に,各専門家が情報を共有し,よりよい治療を提供できるようにするための手段である.しかし,単にチームとして専門の知識を出し合うだけでは進歩はない.異なった患者を診るさまざまなチームが互いに刺激し合い知識を共有する,すなわち教育的な意味もチーム医療という言葉には存在する.教育を進めるためには,常に新しい知識を得て,疑問を解決する努力をすること,すなわち研究という側面を大切にしなくてはならない.研究は,大学病院や研究施設の特許ではなく,医療を行っているものであれば誰もが持っておくべき視点と言える.
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