特集 看護研究におけるテキストマイニング(I)
テキストマイニングの看護研究における活用
いとう たけひこ
1
1和光大学現代人間学部心理教育学科
キーワード:
テキストマイニング
,
ミックス法
,
方法論
,
量的研究
,
質的研究
Keyword:
テキストマイニング
,
ミックス法
,
方法論
,
量的研究
,
質的研究
pp.475-484
発行日 2013年8月15日
Published Date 2013/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100820
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はじめに
本論文の目的はテキストマイニングの方法論的検討にある。テキストマイニングはデータマイニングの一種であり(稲葉,2011),「蓄積された膨大なテキストデータをなんらかの単位(文字,単語,フレーズ)に分解し,これらの関係を定量的に分析すること」と定義されている(金,2009,pp.64-72)。また,テキストマイニングは「ユーザーが一連のツールを利用して文書集合を対話的に分析するという非常に高度な知識を要求する作業」とも特徴づけられている(Feldman & Sanger,2007/辻井監訳,IBM東京基礎研究所テキストマイニングハンドブック翻訳チーム訳,2010)。テキストマイニングの看護研究への適用の意義も,最近徐々に説明されてきている(服部,2010;樫原,2013)。
本論文では,まずテキストマイニングの研究が質的研究なのか量的研究なのか,そう単純ではなく,「コウモリ的性格」をもっていることについて述べる。次に,テキストマイニングの研究は,探索的研究,仮説検証的研究,仮説生成的研究のすべてに有効であることについて述べる。さらに,テキストマイニングの研究は,テキストマイニング分析手法中心の独立した研究において有用であるのはいうまでもないが,それに加えて質的研究や量的研究と併用することにより,ミックス法(またはトライアンギュレーション)の研究法の一部としても使えることを示す。最後にテキストマイニング研究の限界と注意点,および今後の課題について指摘したい。
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