発行日 2017年5月20日
Published Date 2017/5/20
DOI https://doi.org/10.15106/J03022.2017261454
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本研究は、がん体験者によるピアカウンセラーの語りを通じて、彼らの成長体験の要素を抽出し、その要素からピアカウンセラーの成長体験のプロセスを明らかにすることを目的とする。がん診療連携拠点病院のがん相談支援センターでピアカウンセリングを担当する、NPO法人がん患者団体支援機構に属する6名のピアカウンセラーを対象に、半構造化面接を実施し、質的帰納的に分析した。結果、ピアカウンセラーは、[局面1]で【仲間支援に加わる決意】を固め、[局面2]で【自分に求められている役割の見極め】を確たるものにし、やがて[局面3]で【がん体験で培った自己の強みへの気づき】を得るという成長体験のプロセスを遂げていた。本研究の結果から、ピアカウンセラーの成長体験のプロセスは、自らのがん体験の内省により内面的成長を遂げた結果と考えられた。一方で、がんサバイバーであるピアカウンセラーが、がん体験を想起することは心理的苦痛を伴うことが懸念されるため、医療者と顔の見える連携のもと、彼らの心理的問題の解決を手助けする体制を構築することは急務であると考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2017