Japanese
English
講座 ポストポリオ症候群・第2回
リハビリテーション,補装具
Rehabilitation and orthoses.
小田 太士
1
,
佐伯 覚
2
,
蜂須賀 研二
1
Taiji Oda
1
,
Satoru Saeki
2
,
Kenji Hachisuka
1
1産業医科大学リハビリテーション医学講座
2産業医科大学若松病院
1Department of Rehabilitation Medicine, University of Occupational and Environmental Health
2Wakamatsu Hospital of the University of Occupational and Environmental Health
キーワード:
ポストポリオ症候群
,
運動負荷
,
カーボン製装具
Keyword:
ポストポリオ症候群
,
運動負荷
,
カーボン製装具
pp.145-150
発行日 2012年2月10日
Published Date 2012/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102368
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はじめに
ポストポリオ症候群(post polio syndrome;PPS)では,ポリオ罹患後,10~50年の症状安定期を経て,新たな筋力低下,筋・関節痛,易疲労性,嚥下障害,呼吸機能障害などさまざまな症状が出現する.それまで認めていた麻痺肢に加え,健側と考えられていた下肢にも新たな筋力低下が加わることで歩容は不安定となり,転倒回数は増加する.過去1年以内に転倒歴があるポリオ罹患者のうち60%が複数回の転倒を認め,そのうち3分の1は,転倒に対する恐怖感のため歩行距離が減少した1).日常生活の活動性が低下し,廃用が主因となり,さらなる筋力低下を招くこととなる.
また,一般的にポリオ罹患者は頑張り気質が多いと言われ2),筋力低下に伴い歩容が不安定となり転倒の危険性があっても,それまでの生活スタイルを堅持しようとするため無理を強いる傾向にあり,過用からさらに筋力低下を招くという悪循環に陥る(図1)2).ポリオ罹患者を対象とした実態調査では,約72%が自らを頑張り気質と考えており,疲労感や身体の疼痛を認めていても仕事を継続する傾向にあった4).
本稿では,ポリオ罹患者のリハビリテーション実施の注意点,下肢補装具の適応や作製にあたってのポイントを解説する.
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