Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
病跡学者としてのモンテーニュ―『エセー』第2巻第12章より
高橋 正雄
1
1筑波大学障害科学系
pp.1094
発行日 2010年11月10日
Published Date 2010/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101899
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16世紀末に発表されたモンテーニュ(1533~1592年)の『エセー』第2巻第12章(原二郎訳,岩波書店)では,すぐれた精神活動は狂気に結びつきやすいという一種の病跡学的な認識が述べられている.
この「レーモン・スボンの弁護」と題された章は,『エセー』中の白眉と目されている章だが,そのなかでモンテーニュは,「もっとも過敏な錯乱は,もっとも過敏な知恵から生ずる」,「われわれの精神の稀有な敏活な動きからは,もっとも稀有なもっとも調子はずれの錯乱が生まれる」など,狂気と精神活動の関係を強調して,次のように述べている.「狂った人間の行為を見ていると,狂気というものが,人間の精神のもっとも敏活な働きといかに密接に結びついているかがよくわかる」.
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