Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
谷崎潤一郎の『饒太郎』―病跡学的な認識による受容
高橋 正雄
1
1筑波大学障害科学系
pp.290
発行日 2010年3月10日
Published Date 2010/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101733
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大正3年に発表された谷崎潤一郎の『饒太郎』(中央公論社)は,今日言うところの性嗜好障害の青年を主人公とする物語である.
この小説の主人公饒太郎は,「生来の完全な立派な,そうして頗る猛烈なMasochisten」だった.彼は「異性から軽蔑される事を喜ぶのみならず,出来るだけ冷酷な残忍な取り扱いを受けて,寧ろ激烈な肉体的の痛苦を与えて貰う事を,人生最大の歓楽として生きている」ような男だったのである.
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