Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「ブラック会社に勤めてるんだが,もう俺は限界かもしれない」―ニート青年をとおして,労働と人間発達の関係に踏み込む
二通 諭
1
1札幌学院大学人文学部人間科学科
pp.291
発行日 2010年3月10日
Published Date 2010/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101734
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青砥 恭 著『ドキュメント高校中退―いま,貧困がうまれる場所』(ちくま新書2009年10月刊)が話題を呼んでいる.本書によれば,毎年,十万人近い高校生が中退するが,アルバイトですら,高校以上の学歴を求められる現在,高校中退者にはほとんど仕事がなく,彼らは社会の底辺で生きていくことになる,とのこと.
「ブラック会社に勤めてるんだが,もう俺は限界かもしれない」(監督/佐藤祐一)は,前掲書が述べる高校中退者の現実を描くだけでなく,労働と人間発達の関係に踏み込もうとしている点で出色である.それゆえ,私にとっては2009年の密かなベストワン作品.
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