Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「告発のとき」―イラク戦争と言えばPTSDという話になってきた
二通 諭
1
1石狩市立花川南中学校
pp.1227
発行日 2008年12月10日
Published Date 2008/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101409
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テレビのドキュメンタリー番組などでイラク戦争帰還兵のPTSD(心的外傷ストレス障害)の実相を垣間見ることができる.ある母親兵士は12歳のイラク人少年を撃ち殺したことで育児ができなくなり,ある20歳の青年は街で喝あげされそうになったときに,待ち伏せ攻撃を受けたという理由立てで,相手を自動小銃で殺してしまう.PTSDは,戦場での恐怖やストレスによって引き起こされるが,とりわけ,女性や子どもなど民間人を殺害した場合に,そのリスクは一層高くなると言われている.良心の呵責に耐えきれないということの現れでもある.
「告発のとき」(監督/ポール・ハギス)の主張を一言で表現するなら,人はしばしば愛国や正義といった言葉に煽られて戦争に行くのだが,結果はこんなふうになるのだ,戦争はやるべきでないし,行くべきでもない,ということになる.ここで言う結果とはPTSDである.それは,戦争が終わってもなお続く苦痛であり,悲劇である.
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