特集 水銀汚染—水俣病よりグローバルな環境問題へ
イラクの有機水銀汚染
金城 芳秀
1,2
1前:国立水俣病研究センター疫学研究部調査室
2現:国立がんセンター研究所がん情報研究部
pp.330-332
発行日 1995年5月15日
Published Date 1995/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901259
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はじめに
1971年9月,イラクのBasra港からメチル水銀殺菌剤で処理された種子小麦73,201トン(大麦22,262トン)が荷揚げされ,まもなく全国の農家に配布された.翌年1月,自家製のパンを食する地方からメチル水銀中毒患者が多発した.中毒患者は入院患者として把握され,大部分は農夫もしくはその家族であった.3月末には患者の集団発生が終息に向かったものの,最終的には入院患者約6千人,死亡者が約500人に達し,大規模な水銀農薬禍となった1).
ここではメチル水銀曝露に関する量・反応関係に焦点を当て,イラクの有機水銀汚染について紹介する.
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