Japanese
English
研究と報告
肩関節屈曲と外転における鎖骨・肩甲骨の運動―座標移動分析を用いた検討
The characteristics of the clavicle-scapulo motion during the shoulder flexion and abduction: the analysis of the direction and translation in the coordinate plane.
三浦 雄一郎
1
,
森原 徹
2
,
福島 秀晃
1
,
鈴木 俊明
3
Yuichiro Miura
1
,
Toru Morihara
2
,
Hideaki Fukushima
1
,
Toshiaki Suzuki
3
1第一岡本病院リハビリテーション科
2京都府立医科大学大学院医学研究科運動器機能再生外科学
3関西医療大学保健医療学部臨床理学療法学教室
1Department of Rehabilitation, First Okamoto Hospital
2Department of Orthopedics, Graduate School of Medical Science, Kyoto Prefectural University of Medicine
3Clinical Physical Therapy Laboratory, Faculty of Health Sciences, Kansai University of Health Sciences
キーワード:
X線動作解析
,
座標移動分析
,
肩関節屈曲
,
肩関節外転
,
胸鎖関節
Keyword:
X線動作解析
,
座標移動分析
,
肩関節屈曲
,
肩関節外転
,
胸鎖関節
pp.877-884
発行日 2008年9月10日
Published Date 2008/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101335
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要旨:肩関節運動における肩甲上腕リズムはよく知られているが,鎖骨を含めた肩甲骨,上腕骨の協調運動に関する報告は少ない.本研究では,上腕骨挙上(肩関節屈曲と外転)における鎖骨・肩甲骨の運動について,座標移動分析を用いて検討した.対象は肩関節可動域制限のない健常男性7名であった.肩関節屈曲および外転,それぞれ0°,30°,60°,90°,120°,150°,最終可動域(180°)での単純X線正面像から,鎖骨傾斜角度,肩甲骨上方回旋角度を測定した.座標移動分析では,胸鎖関節を支点として,肩鎖関節,肩甲棘内側端および肩甲骨下角に座標軸を作成し,肩関節屈曲と外転運動における移動方向・量を測定した.肩甲骨上方回旋角度は肩関節屈曲,外転運動間に変化はなく,各角度間で有意差を認めなかった.鎖骨傾斜角度は60°~120°の範囲で屈曲および外転運動間に有意差を認めた.座標移動分析によると,肩関節屈曲では90°もしくは120°までは主として肩鎖関節を支点とした肩甲骨上方回旋が生じ,屈曲120°または150°以降で肩甲骨上方回旋の支点が変化している可能性が示された.また,肩関節外転では90°まで肩甲棘内側端を棘突起に接近させ鎖骨を後退させながら,すなわち,肩甲骨を脊柱側に傾斜させることで肩甲骨を上方回旋させていた.このことから,肩関節屈曲と外転では上肢挙上に伴う肩甲骨上方回旋角度間に有意差を認めないが,肩甲骨上方回旋の運動様式に相違があることが明らかとなった.肩甲骨の上方回旋には鎖骨の運動が深く影響していることが確認できた.座標移動分析法は,上肢挙上に重要な鎖骨と肩甲骨の運動解析に有用な方法の一つと考える.
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