Japanese
English
症例報告
上肢挙上不能な腱板広範囲断裂保存症例へのリハビリテーションアプローチの検討
Rehabilitation approach for the case impossible to lift up upper extremity with massive rotator cuff tear.
大川 真美
1
,
森原 徹
2
,
福島 秀晃
1
,
三浦 雄一郎
1
,
鈴木 俊明
3
Mami Ohkawa
1
,
Toru Morihara
2
,
Hideaki Fukushima
1
,
Yuichiro Miura
1
,
Toshiaki Suzuki
3
1第一岡本病院リハビリテーション科
2京都府立医科大学大学院医学研究科運動器機能再生外科学(整形外科)
3関西医療大学大学院保健医療学研究科
1Department of Rehabilitation, First Okamoto Hospital
2Department of Orthopedics, Graduate School of Medical Science, Kyoto Prefectural University of Medicine
3Graduate School of Health Sciences, Kansai University of Health Sciences
キーワード:
腱板広範囲断裂
,
保存療法
,
表面筋電図
,
肩甲帯動態解析
Keyword:
腱板広範囲断裂
,
保存療法
,
表面筋電図
,
肩甲帯動態解析
pp.863-867
発行日 2013年9月10日
Published Date 2013/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552110246
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はじめに
加齢に伴って腱板は変性し,軽微な外傷をきっかけとして腱板断裂が生じる.腱板断裂の中でも腱板広範囲断裂では,筋力低下,肩関節可動域制限および疼痛によって日常生活が著しく低下する.さらに高齢かつ腱板断端部の脂肪変性が著しい場合,手術による修復術は困難であることが多く,保存療法が選択されるケースがある.保存療法としてリハビリテーションによる肩関節可動域訓練や残存腱板筋の筋力強化,体幹・肩甲胸郭関節運動が行われる.しかし,健常な肩関節機能は,上肢の挙上角度変化に対応した肩甲上腕関節の安定化機能が必要となることや,腱板機能が破綻した症例においては,上肢末梢への力の伝達障害が生じているため,画一的なリハビリテーションを施行しても,肩関節機能を改善させることは困難であることが多い1).今回,上肢挙上困難な腱板広範囲断裂の1症例を経験した.座標移動分析法2)による肩甲帯の動態と,表面筋電図検査による肩関節周囲筋の機能評価を基に,肩関節運動プログラムを作成したことで,肩関節機能の改善を認めたので報告する.なお,本稿作成にあたり,本症例患者には十分な説明を行い同意を得た.
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