座標移動分析法が肩甲骨運動プログラム作成に有効であった前鋸筋麻痺の1症例

A case report of paralysis of the serratus anterior muscle evaluated by the analysis of the direction and translation in the coordinate plane for the scapula exercise program.

はじめに

　翼状肩甲の原因として，長胸神経・副神経麻痺による前鋸筋，僧帽筋の機能不全が知られている．特に長胸神経麻痺では，90度以上の上肢挙上が困難になることが多い．今回，長時間のリュックサック保持が原因であった長胸神経麻痺^1）による前鋸筋の筋力低下を呈した症例を経験した．本症例の肩関節屈曲運動には著明な翼状肩甲を認めたが，120度の可動域を有していた．局所所見，動態X線検査（座標移動分析法）から肩甲骨の動態評価^2）を行い，本評価結果より肩甲骨運動プログラムを作成し，良好な結果を得たので報告する．