Japanese
English
研究と報告
肩関節屈曲と外転時の肩甲骨運動の特徴と肩甲帯周囲筋との関連性
Relationship between characteristics of the motion in scapula and scapular muscles during shoulder flexion and abduction.
三浦 雄一郎
1
,
森原 徹
2
,
福島 秀晃
1
,
鈴木 俊明
3
Yuichiro Miura
1
,
Toru Morihara
2
,
Hideaki Fukushima
1
,
Toshiaki Suzuki
3
1第一岡本病院リハビリテーション科
2京都府立医科大学大学院医学研究科運動器機能再生外科学
3関西医療大学保健医療学部臨床理学療法学教室
1Department of Rehabilitation, First Okamoto Hospital
2Department of Orthopedics, Graduate School of Medical Science, Kyoto Prefectural University of Medicine
3Clinical Physical Therapy Laboratory, Faculty of Health Sciences, Kansai University of Health Sciences
キーワード:
僧帽筋
,
前鋸筋
,
肩関節屈曲
,
肩関節外転
,
表面筋電図
Keyword:
僧帽筋
,
前鋸筋
,
肩関節屈曲
,
肩関節外転
,
表面筋電図
pp.649-655
発行日 2009年7月10日
Published Date 2009/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101550
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
要旨:上肢挙上に伴う肩甲骨・鎖骨運動の重要性については一般的に知られているが,上肢挙上時の運動方向の相違が肩甲骨・鎖骨運動に与える影響についてほとんど知られていない.そこでわれわれは,先行研究にて肩関節屈曲と外転における肩甲骨・鎖骨運動を分析し,上肢挙上に伴う肩甲骨上方回旋角度に相違を認めなかったが,その運動様式が異なることを示した.本研究の目的は,肩関節屈曲と外転で示された肩甲骨・鎖骨運動の特徴と,肩甲骨上方回旋に関与する肩甲帯周囲筋の作用について,より深く理解することである.対象は健常男性8名で,肩関節屈曲と外転30°,60°,90°,120°位の5秒間保持を運動課題とし,測定筋は僧帽筋上部線維,中部線維,下部線維,および前鋸筋とした.僧帽筋上部線維は屈曲と外転で有意差を認めなかった.僧帽筋中部線維ではすべての角度で外転が増加しており,60°から120°で,屈曲と比較して外転が有意に増加した(p<0.05;60°,120°,p<0.01;90°).僧帽筋下部線維では30°と60°では屈曲が有意に増加したが,120°では反対に外転が有意に増加した(p<0.05).前鋸筋はすべての角度で屈曲が増加しており,30°では有意差を認めた(p<0.05).本研究結果は,肩関節屈曲と外転で示された肩甲骨・鎖骨運動の特徴と肩甲帯周囲筋との関連性の理解に役立ち,臨床的にも上肢挙上時の肩甲帯の運動学的評価,運動療法プログラムの作成に役立つと考えられる.
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.