特集 理学療法の展望2006
第Ⅰ部 理学療法,この10年の変遷と将来展望
理学療法士の職域―10年の変遷と将来展望
奈良 勲
1
1神戸学院大学総合リハビリテーション学部
キーワード:
社会のニーズ
,
介護・障害予防
,
職域展望
Keyword:
社会のニーズ
,
介護・障害予防
,
職域展望
pp.1101-1107
発行日 2006年12月1日
Published Date 2006/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100712
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はじめに
1965年に公布された「理学療法士及び作業療法士法」(法律137号)の目的である第1条には,「この法律は,理学療法士及び作業療法士の資格を定めるとともに,その業務が,適正に運用されるように規律し,もって医療の普及及び向上に寄与することを目的とする」とある.つまり,この法律で理学療法士は,医療職として位置づけられている.その条文を受けて,第2条の定義では「理学療法とは,身体に障害のある者に対して, 主としてその基本動作能力の回復を図るため,治療体操,その他の運動を行なわせ,及び電気刺激,マッサージ,温熱,その他の物理的手段を加えることをいう」とある.これらの法律上の条文は,理学療法士の業務と職域とを定める基本的枠組みと指針になるため,理学療法士の職域について考える際,避けて通れない事項である.
このような点から,理学療法士が誕生して以来,理学療法士の職域は,法律上の枠と業務内容(定義),そして,理学療法士の数が不足していたこともあり,狭義の医療に限定されてきたことは事実である.しかし,後述するが,高齢社会の到来で社会構造が変革してきたことに鑑み,国は国民の社会生活上のニーズに応えるべく,総合的に対応する基本姿勢を呈示し,過去10数年の間に種々の政策を掲げて善処してきた.その過程で理学療法士の職域も必然的に変遷してきた.
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