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はじめに
近年,日本においてもようやく筋電義手が注目されるようになり,徐々にではあるが,筋電義手使用者が増えている傾向にある.
従来,日本において機能性に優れた義手と言えば能動フック式義手が一般的であった.能動フック式義手は安価であり,しかも巧緻性が必要な作業については,その有用性は確認されている.しかし,外観が悪く,社会生活で使用する場合において使用者に敬遠されてきたことも事実である.
一方,筋電義手は装飾性と機能性の両方を備えてはいるものの,能動義手に比べて重量が大きく,誤動作が生じたり,巧緻性に劣ったり,さらに高価であるといった課題を有している1-3).しかし一方では,筋電義手は能動義手のようなハーネス・ケーブルシステムによる上肢の制約はなく,快適に使用できる4,5)といった利点を有しており,両手動作を多用する日常生活動作における有用性は高い.事実,筆者らは1999年から,前腕切断者に対し筋電義手訓練を積極的に提供し,筋電義手が日常生活や社会生活で十分に活用できることを確認してきた6-11).
筋電義手は,ハーネスとケーブルシステムで操作する能動義手と同様に,作業目的により手先具を変換することが可能である.現在,筋電義手の手部(手先具)の種類には,主に日常生活全般で使用されるMyobock Electric Hand(Otto Bock社製System Electric Hand;以下,筋電ハンド)と作業用筋電義手であるMYOBOCK System Electric Greifers(Otto Bock Digital Twin 6/7.2 Volt, With Quick Disconnect Wrist,以下,Greifers)がある.Greifersは重作業を必要とする職業に適しているとされている.しかし,片側上肢切断者においてのGreifersの使用例やその有効性の報告は,われわれの検索した限りでは見当たらない.
今回,日常生活においては筋電ハンドを使用し,職場ではGreifersを使用することで元職場復帰を果たし,Greifersの有効性を認めた1症例を経験したので,若干の考察を加えて報告する.
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