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特集 目に見える障害とどう向き合うか—先天性欠損児の作業療法
—筋電義手のアプローチを通した活動と参加への支援③—就学前(4〜6歳)先天性上肢(前腕)欠損児への作業療法
Adaptations of myoelectric prosthesis:Occupational therapy for children(4-6 years old)with congenital forearm defects
柴田 八衣子
1
,
溝部 二十四
1
,
若林 秀昭
1
Yaeko Shibata
1
,
Futoshi Mizobe
1
,
Hideaki Wakabayashi
1
1兵庫県立リハビリテーション中央病院
pp.649-653
発行日 2016年7月15日
Published Date 2016/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200616
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Key Questions
Q1:保育園,幼稚園との連携とは?
Q2:2電極制御への移行とは?
Q3:子どもの自己選択,自己決定とは?
はじめに
日本では,上肢欠損児に対する確固たるリハの仕組みはなく,上肢を欠損していても,非欠損や欠損肢(断端)を駆使して,器用に日常生活を行う方法を体得する.このことは,多くのOTも認識しているところであり,さらに「とくに,一側のみでADLのほとんど(90%以上)が可能となる1,2)」という定説が医療の現場では浸透している.しかし,「両手でしかできない動作は,最初からあきらめ,でも9割できればよいだろう」と,医療者側が偏った見方やとらえ方をしてしまう場合もある.重要なのは,医療者側ではなく,本人の考えである.
2歳半以降の子どもへの導入では,両親だけではなく,筋電義手を使用する子ども本人の意思が重要であることは総説で述べた.さらに,4歳以降になると確実に子ども自身が,「筋電義手がほしい,〜がしたい,〜ができるようになりたい」という気持ちから義手を求め,両親の気持ちを動かし,受診される.
作業療法では,「義手が動かせればよい」との誤解が根強くあるが,大切なのは子どもの選択肢の幅を広げること,つまり,断端を使う(義手を使わない)生活を選択しても,義手も使う生活を選択しても,子ども自身と両親が自己選択・自己決定ができる適切な情報が提供できることである.そして活動と参加を含めたその環境づくりが求められている.
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