連載 移動支援機器・用具
自動車運転用装置
松尾 清美
1
,
小林 博光
2
1佐賀大学医学部附属地域医療科学教育研究センター福祉健康科学(生活行動支援)部門
2総合せき損センター医用工学研究部
キーワード:
移動能力障害
,
自動車運転用装置
,
自立移動
Keyword:
移動能力障害
,
自動車運転用装置
,
自立移動
pp.501-504
発行日 2008年5月10日
Published Date 2008/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101252
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はじめに
人間にとっての移動は,仕事や趣味,通院,情報収集,コミュニケーションなどを行うための基本的な生活行為の一つである.以前は,身体に移動能力障害が現れると,途端に「家に閉じこもりがちな障害者」と言われる状況に陥ることが多かった.しかし,杖や車いす,電動車いすを使用する人々の社会参加への努力やバリアフリー法などの整備によって,社会環境が徐々に改善されてきている.また,車いすや自動車などの移動補助用具や機器の発達により,身体障害から生じる移動能力障害を感じずに生活する人も多くなった.
リハビリテーション関連職種は,本人に社会参加する勇気とチャレンジ精神を起こさせ,将来の自分や子孫のために,より安全で使いやすい道具とまちづくりを目指していかなければならない.その一つである自動車運転用装置は,さまざまな運転補助装置や周辺スイッチの操作補助用具が市販されており,体幹と4肢のうち1肢以上に障害がなければ,残存機能に適した装置を選択して運転することができる.乗降装置については前号で記載したので,今号では運転装置について記述する.
身体障害のある人が運転に用いる機能や動作はさまざまで,それに応じた運転補助装置や補助器具が開発され,使用されている.図1に,四肢の機能別の運転用装置を示している.以下に,代表的な装置や器具について記述する.
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