Japanese
English
特集 生活習慣病と運動療法
糖尿病の運動処方の実際
Exercise therapy for diabetes.
押田 芳治
1
Yoshiharu Oshida
1
1名古屋大学総合保健体育科学センター
1Research Center of Health, Physical Fitness and Sports, Nagoya University
キーワード:
インスリン抵抗性
,
身体トレーニング
,
有酸素運動
,
レジスタンス運動
Keyword:
インスリン抵抗性
,
身体トレーニング
,
有酸素運動
,
レジスタンス運動
pp.627-633
発行日 2003年7月10日
Published Date 2003/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100795
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
糖尿病,特に2型糖尿病では,インスリン抵抗性とインスリン分泌不全とが相まって高血糖を招き,糖尿病特有の合併症である細小血管障害(神経障害,網膜症,腎症)を惹起させることは周知の事実である.また,インスリン抵抗性(インスリン感受性の低下)は,随伴する高インスリン血症により,高血圧症,高脂血症,動脈硬化症を招くと言われている1).一方,身体トレーニングの継続がインスリン抵抗性を改善させることはよく知られている2,3).したがって,身体トレーニングは,糖尿病や肥満症に対する有力な治療手段の一つになっている(運動療法).身体トレーニングによるインスリン抵抗性の改善を通して,血糖値の上昇を抑えることによる糖尿病の発症予防(一次予防)および血糖値の是正に伴う,糖尿病の進展防止,すなわち糖尿病細小血管障害や動脈硬化症の発症阻止(二次予防)を目指すことは,医療経済学的観点からも,最も理にかなったものと言えよう4).
そこで,本稿では,糖尿病治療における運動療法の効果についての最新のエビデンスを概説し,さらに,具体的運動処方について可能な限り言及する.
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.