研究と報告
高齢女性における下肢筋力と椅子からの立ち上がり動作時間との関係
横川 正美
1
,
司 艶玲
2
,
三秋 泰一
1
,
武村 啓住
1
,
洲﨑 俊男
1
,
青木 正典
3
,
立野 勝彦
1
Masami Yokogawa
1
,
Yanling Si
2
,
Hiroichi Miaki
1
,
Keiju Takemura
1
,
Toshio Susaki
1
,
Masanori Aoki
3
,
Katsuhiko Tachino
1
1金沢大学医学部保健学科理学療法学専攻
2中国江蘇省徐州医学院
3金沢大学医学部保健学科医療基礎学講座
1Department of Physical Therapy, School of Health Sciences, Faculty of Medicine, Kanazawa University
2Xuzhou Medical Collage Jiangsu China
3Department of Basic Sciences, School of Health Sciences, Faculty of Medicine, Kanazawa University
キーワード:
高齢女性
,
下肢筋力
,
立ち上がり動作
Keyword:
高齢女性
,
下肢筋力
,
立ち上がり動作
pp.175-180
発行日 2004年2月10日
Published Date 2004/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100548
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はじめに
高齢者にとって立ち上がり動作は日常生活で困難を感じる動作であると言われている1).立ち上がり動作遂行には,筋力,関節可動域,感覚,バランス,精神機能面など多くの要素が関連し,単一の因子のみでその能力を決定することは困難であるものの,それらのなかで下肢筋力は重要とされている1-4).
椅子からの立ち上がり動作と下肢筋活動に関する過去の報告では,膝関節伸展筋は他の主要な下肢筋群よりも筋活動が大きい5-7).またWheelerら8)は,立ち上がり動作中の外側広筋の筋活動は若年成人で最大随意収縮の46.5%,高齢者では89.7%であったとしている.これは歩行時の筋活動9)がそれぞれ約10%および約20%であったのに比べてかなり大きいことから,立ち上がり動作は筋力低下の影響を受けやすいと言える.一般に筋力は30~40歳以降,加齢に伴い低下し,上肢よりも下肢のほうがより早期から低下する10)ことも加味すると,高齢者では膝関節伸展筋力はもちろん,立ち上がり動作に関与する他の下肢筋群11,12)の影響がより大きくなることも考えられる.
そこで本研究では,高齢女性の股関節伸展,膝関節伸展,足関節背屈各筋群の筋力と椅子からの立ち上がり動作所要時間との関係,およびJonesら▲13)▲が高齢者の下肢筋力評価として報告した30秒間椅子立ち上がりテストと下肢筋力との関係について検討した.
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