一頁講座 ユニバーサルデザイン
ユニバーサルデザインとは何か(2)
川崎 和男
1
1名古屋市立大学大学院芸術工学研究科
キーワード:
機能的設計解
,
造形
,
効能
,
生老病死
Keyword:
機能的設計解
,
造形
,
効能
,
生老病死
pp.181
発行日 2004年2月10日
Published Date 2004/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100549
- 有料閲覧
- 文献概要
バリアフリーデザイン,ユニバーサルデザイン,いずれの言葉も,今ではすっかり会話にまで登場するほど一般的になってきた.しかし,ユニバーサルデザインという定義は,大きく誤解されている.筆者は,ユニバーサルデザインをわが国に取り入れた一人として,この誤解をまず解消しなければならないと考えている.まず,ユニバーサルデザインとは,「誰もが,万人が使える万能なデザイン」と言われているが,まず,そのようなモノは存在しない.
幼児から老人までが使えるモノなどは,ありえない.そして,ユニバーサルデザインであるということを,商業主義的に訴求する商品は,それ以前に,デザインの本質そのものがユニバーサルデザインでなければならないという原則を度外視しているものが氾濫し始めている.まず,デザインとは,決して,装飾的なことや,それこそ商品の付加価値をつけるために,物欲を刺激するための手法ではない.したがって,機能的であることだけを設計解として造形されたモノが,デザインされているわけではない.たとえば,多少使いづらいモノであっても,使用していくことで,その使い勝手を自分流にできうるモノもありうるわけだ.つまり,デザインとは,まず,モノ=製品が一人一人にとって,その性能が最も適っているかどうか,さらに,その製品と自分の関係が効能をもっているかどうか,すなわち,効能とは自分らしさがそのモノを所有し使用することで,自分の生き方や生活ぶりまで表現できるか,ということである.そして,機能的なデザインとは,あくまでも使い勝手の簡便さや容易さだけではなくて,さらに,そのモノに美しさを感じ取ることができるかということが肝要である.
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.