Japanese
English
研究と報告
脊髄損傷ラットに伴う関節拘縮の進行経過と制限の方向
Progressive processes and restricted direction of contracture following spinal cord injury in the rat.
森山 英樹
1
,
砂堀 仁志
1
,
堤 恵理子
2
,
渡邉 誠
3
,
金村 尚彦
1
,
小澤 淳也
1
,
白濱 勳二
1
,
吉村 理
2
Hideki Moriyama
1
,
Hitoshi Sunahori
1
,
Eriko Tsutsumi
2
,
Makoto Watanabe
3
,
Naohiko Kanemura
1
,
Junya Ozawa
1
,
Kunji Shirahama
1
,
Osamu Yoshimura
2
1広島大学大学院保健額研究科保健学専攻
2広島大学医学部保健学科
3北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科
1Health Sciences Major, Graduate School of Health Sciences, Hiroshima University
2Insutitute of Health Sciences, Faculty of Medicine, HIrosima University
3Faculty of Rehabilitation, School of Allied Health Sciences, Kitasato University
キーワード:
関節拘縮
,
脊髄損傷
,
ラット
,
関節可動域
Keyword:
関節拘縮
,
脊髄損傷
,
ラット
,
関節可動域
pp.169-174
発行日 2004年2月10日
Published Date 2004/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100547
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はじめに
関節拘縮は,リハビリテーションを阻害する一般的な合併症である.近年,関節拘縮に対する理解が深まり,多岐にわたる治療法が確立された.特に骨折などの外傷後の長期固定が主な原因となる関節拘縮は,優れた内固定,創外固定,CPM(continuous passive movement)を利用した後療法が考案されてきた現在,リハビリテーション阻害因子として確実に減少している1).しかしながら中枢神経損傷に伴う関節拘縮においては,その治療に際して筋緊張の異常や異常姿勢反射の存在を考慮しなければならず,臨床においてリハビリテーション従事者がもっとも頻繁に直面し,その対応に苦慮する合併症である.
過去に関節拘縮に関する多くの基礎的研究が行われてきた.しかしながら,関節拘縮の経時的変化を究明した研究は,内固定およびギプス固定を中心とした固定後に生じる関節変化について論じたものであり,異なる発生要因をもつ中枢神経疾患に伴う関節拘縮に関する基礎的研究は行われていない.また固定後の研究のいくつかでは,関節可動域(ROM)を指標に関節拘縮の進行経過が評価されてきた.ROM制限の進行経過と制限の方向を明らかにすることは,中枢神経損傷に続発する関節拘縮の病因の理解につながり,進行経過に合わせた適切な時期での治療的介入の指針となる.
本研究の目的は,中枢神経損傷動物モデルとして多くの研究で用いられ,評価基準も確立されている脊髄損傷ラットを用い,さらに,固定後の関節拘縮に関する研究で頻繁に用いられている膝関節を対象に,中枢神経損傷に伴う関節拘縮の進行経過および制限の方向を明らかにすることである.
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