Japanese
English
研究と報告
脳卒中片麻痺患者における連合反応と痙縮との関係
Relationship between associated reactions and spasticity in hemiplegia.
沖 知実
1
,
補永 薫
1
,
田辺 茂雄
2
,
平原 由起子
1
,
正門 由久
1
,
木村 彰男
1
Tomomi Oki
1
,
Kaoru Honaga
1
,
Shigeo Tanabe
2
,
Yukiko Hirabara
1
,
Yoshihisa Masakado
1
,
Akio Kimura
1
1慶應義塾大学月が瀬リハビリテーションセンター
2慶應義塾大学理工学部生命学科
1Keio University Tsukigase Rehabilitation Center
2Department of Biosciences and Informatics, Keio University
キーワード:
連合反応
,
痙縮
,
Modified Ashworth Scale
,
T反射
,
H反射
Keyword:
連合反応
,
痙縮
,
Modified Ashworth Scale
,
T反射
,
H反射
pp.883-887
発行日 2006年9月10日
Published Date 2006/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100378
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はじめに
脳卒中片麻痺患者では,上位運動ニューロン症候群の代表的な陽性徴候として,抑制機構の欠如によると考えられる異常な筋活動が生じる.それには,痙縮や病的共同運動パターン,病的同時収縮などがある.
連合反応(associated reactions)も上述した陽性徴候の一つである1).連合反応は,把握動作や等尺性収縮を要する動作,全身の大きな動きを必要とする起居動作など,努力を要する動作を行った際に誘発される麻痺側の異常筋活動であり2),それによってADL(activities of daily living)の獲得は大きく阻害される3-5).また,正常な運動回復の阻害となり,異常姿勢を誘発し,筋短縮やそれに続く拘縮の誘因になるとも考えられており6),リハビリテーション上,問題となる.
近年,その病態解明のための研究が行われているが,連合反応と痙縮の程度に相関があり,比例して増悪するという報告6)と,関連性を否定する報告7,8)があり,連合反応と痙縮の関係については結論が一致していない.その原因の一つとして,これらの研究で用いられている連合反応の評価尺度に問題があると考えられる.過去の研究7)では,主に連合反応によって生じる関節トルクをその評価指標としているが,被験者間で連合反応によって誘発される異常な筋収縮のトルクが著しく異なり,ばらつきも大きいため適切な指標とは言えないと考えられる.
本研究において,われわれは連合反応を表面筋電図を用いて定量化し,痙縮との関連について検討した.加えて,T反射およびH反射との関連についても検討を加え,興味ある結果が得られたので報告する.
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