Japanese
English
研究と報告
片麻痺患者の各種動作時における患側上肢の連合反応
Associated Reactions in Hemiplegia Doing Varied Activities.
宮前 珠子
1
,
田村 美枝子
2
,
菅原 洋子
3
,
内田 博美
4
,
山本 寿枝子
5
Tamako Miyamae
1
,
Mieko Tamura
2
,
Yoko Sugawara
3
,
Hiromi Uchida
4
,
Sueko Yamamoto
5
1広島大学医学部保健学科
2秋田大学医療技術短期大学部
3国立療養所村山病院
4国立療養所多磨全生園
5新所沢潤和病院
1Institute of Health Sciences, Hiroshima University School of Medicine
2School of Allied Medical Professions, Akita University
3National Murayama Sanatorium
4National Leprasarium Tamazenshoen
5Shintokorozawa Junwa Hospital
キーワード:
片麻痺
,
連合反応
,
ADL
Keyword:
片麻痺
,
連合反応
,
ADL
pp.943-954
発行日 1993年11月10日
Published Date 1993/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107485
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はじめに
片麻痺患者は麻痺側にさまざまな異常な筋の活動状態を示すが,その1つが連合反応(associated reaction)である.1916年,Marie & Foix1)はこの現象をla syncinesie globale(global synkinesis)と名付け,「片麻痺患者が健側で何らかの強い努力を伴う運動を行うと患側肢が動き始める.これらは患者が既に持っている上肢の屈曲パターンと,下肢の伸展パターンを誇張した形をとることが多い」という意味の記載を行ったが,それ以後も多くの臨床家2-19)によって注目されてきた.
連合反応は,片麻痺患者特有の異常姿勢(Mann-Wernickeの肢位)や筋の短縮,関節拘縮の一因となり,また運動回復の妨げにもなるため,治療上重要な問題の一つであると考えられている3,6-9,11,12).その影響を少なくするため,片麻痺患者は強い力を入れる動作を避けるように生活するのが良いとする説もある7,8,11).
片麻痺患側の筋活動の研究は,これまで多くの研究者によって行われてきたが10,18-26),いずれも単一の動作に関してであった.片麻痺の連合反応は日常生活の中で起こることが問題である7,8,11)にも関わらず,これまで日常生活動作に伴う連合反応の定量的研究は行われていない.この問題を明らかにするには多種類の動作を行わせて筋活動量の多少を比較する必要があるが,そのような研究もこれまでみられない.
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