Japanese
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特集 多職種による痙縮治療
片麻痺患者の痙縮治療
The treatment of spasticity in hemiparetic patients
佐々木 信幸
1
Nobuyuki Sasaki
1
1聖マリアンナ医科大学リハビリテーション医学講座
1Department of Rehabilitation Medicine, St. Marianna University School of Medicine
キーワード:
痙縮
,
リハビリテーション
,
ボツリヌス
,
バクロフェン
,
装具
Keyword:
痙縮
,
リハビリテーション
,
ボツリヌス
,
バクロフェン
,
装具
pp.623-629
発行日 2020年7月10日
Published Date 2020/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201985
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伸張反射と痙縮
個々の動作すべてを大脳皮質の運動野が命じているわけではなく,例えばただ歩行している際に「右足の次に左足を出そう」と考えてはいない.このような動作は脊髄のcentral pattern generatorにより半自動的に制御される.より随意的な調整を要する綱渡りなどの動作においても,絶妙なバランスを随意指令のみで制御しきれないことは想像に難くないだろう.われわれの筋骨格系は常にセンシングされ,下位での自動的な調整を上位がさらに調整するといった階層構造により制御されている.
この階層の最下部に位置するのが伸張反射である1).筋紡錘が筋肉の伸張を脊髄に伝えると,脊髄はその筋肉を収縮させる.筋長の恒常性を保ち関節の破壊を防ぐシステムであるが,これだけでは動作はぎこちなくなり,強い伸張に筋は断裂する.そこで腱ではゴルジ腱器官が反応し,シナプス1つ分の時間差を設けて伸張反射を緩める.この2つのセンサーの連携により,われわれの筋は伸張に対し適切にブレーキをかける(図1a).
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